探求活動に壁は無し ーそれぞれの関心を重ね合わせてー

☆2019年6月1日 茨城大学での学会の帰り、水戸で難波先生と駿煌会メンバーがあつまっての座談会より

*参加者 年齢順 肩書は当時のものです 駿煌会メンバーはハンドルネームで記載されています
・難波博孝  広島大学大学院教授
・虚空     駿煌会主宰 家庭教師 (元小学校教諭)
・コバルト   建設関係 
・チョコレート 福祉施設職員
・諷虹     塾講師 専門「数学」 




「おうち意識」をふまえた児言態の授業計画についての自由トークから

虚空 純粋に聖徳の子の「おうち」を考えたときに、去年の様子をみて・・・前回石巻でおうちの授業をした時は子供の意識のベースを探る・・・まあ、1年生だったこともあるし・・・・じゃあ、今考えたいのは何か・・・。

そうやってベースがしっかりしている子たちに、違うスイッチが入ったら一気に「身近な実感」が「宇宙」だとか「超ミクロな小宇宙」だとかね、そういう世界に一気に飛べるんじゃないか、っていう仮説がね・・・。
そういう意味での「おうち意識」のとらえかた・・・前回と同じことをやったってしょうがないしね。

難波 学年も違うしね。

虚空 そういうことを本気で考えたいな、って。それで駿煌会で最近話題になっているのも「実感を伴うことだからこそ、一気に宇宙に飛躍できる」というようなことだしね。

コバルト そういうやりとりって、何歳になっても忘れないしね。残るから。

虚空 話があっちこっちにいってしまうけど・・・自分たちも振り返ってみた時に、小学校のときに受けた授業でどんなのをうけたっけって。普通の授業なんて覚えていない。作文だってね・・・普通に書いたのは覚えていない。

それがね、例えばこの前諷虹君との間でにおい作文の話になって・・・。途中からのぶが来て「3年生の時ににおい作文を書いたよな、どんなこと書いたか覚えてる?」って聞いたらペラペラペラってにおいの思い出をしゃべったんですよ。そうしたらほぼ同じことをしゃべっていた、っていうので諷虹と二人でビックリしたんですけど・・・。
小3の時に書いたことと同じ印象が30歳を過ぎても残っている・・・これがベースなんだな、って。

難波 基層だよね。

虚空 そしてそれがあるからこそ話が飛躍できるんだろうな、って。そういう仮説

難波 「うち」があるから飛べるっていうことよね。
それが高学年への授業だったら「うち があることが同時に 飛び出していける姿」っていうことなんだね

虚空 やっぱり「うち」っていうのが「実感体感が丸出しの世界」だから。
 「うち」がからむと一番子ども達にとっては「ナマ」がからむじゃないですか。
誰かがハッとするっていう書き込みをしていたじゃない。

チョコレート かいまみ・・・

コバルト ハッとする、思い知る

虚空 ハッとするっていうことがトランスフォーメーションとか類化性能で最も起こりやすいのが「うちの意識」に根差した実感・体感。そういうのが躍動している子ほど、いきなりポーンと宇宙なりミクロなり見えない世界に飛べる・・・そういうエネルギーを持っている・・・。
最近コバルト君もエネルギーっていう言葉を盛んに使うけど・・・。

参考)インフレーション宇宙論との関連(宇宙を内なる意識世界とおきかえて考える)


コバルト エネルギーと力。

諷虹 しかも壁を通り抜けるみたいな量子論の発想・・・うちがあって、閉じ込められてても外に出ちゃう。

コバルト 今ちょっと思ったのが、授業を受けている時って、みんな妖怪ろくろ首のようになってるんじゃないかな、って。

虚空 普通の授業を受けている時も?

コバルト いや、ハッと思い知ったような時。飛び出していろんな世界を見れてる。

難波 ちょうど広島県三次市に妖怪博物館っていうのがあるんですよ。
まさしくそういう妖怪って僕らのイマジネーションの中におるやつじゃん。それを取り出してくるんだよね。だからろくろ首も比喩的じゃなくて、本当に自分の中のろくろ首が出るんだと思うのね。

参考)公式サイト 「三次もののけミュージアム https://miyoshi-mononoke.jp/」

虚空 それこそ鳥瞰だよね。ろくろ首が上から見下ろせば。

諷虹 上の空ってありますよね。(笑)

難波 上原輝男やな!

虚空 だから私が刺激を受ける、っていう意味、分かりますよね?

難波 もうこの人たちが上原輝男なんやね。もはや。

諷虹 確かにコバルトさんが言うように授業を受けてて「ああそうだな」っていろいろ考えちゃって、授業が入って来ない瞬間ってあるよな、って。

チョコレート 虚空先生と家庭教師やっているときにもよくあったな、それは。普通の授業ではあんまりそれはなかったけど。うちでやってるから???

諷虹 そういう授業をやってる時って、その「上の空」の方にどんどんどんどん行って・・・ 

チョコレート それが面白い世界なんだよね。

諷虹 そのまま大気圏に突入しちゃう

コバルト それが宇宙とつながっていく

難波 宇宙につながる感覚を持ったからみんなここに集まってきてるんだよな。

虚空 だから去年の児言態50周年の葛西先生がやった授業も非常に面白がっていたんですよね。一緒に受けたかったって。

チョコレート そうだねー。面白かったもん。

難波 やっぱりさ・・・授業を作ろうよ、このメンバーで。本当に。作ろう。もう作るしかない、って。作ることにしか生きる道はない、って。マジで。本当にマジな話。ホント、本当にマジな話・・・何回も繰り返すけど。

コバルト 面白そうですね。


(ここで各自の年齢を確認。諷虹君の年齢が思ったより若いことにビックリ)

難波 そんな若いんだ!

虚空 だからね、年齢差を感じないでしょ。

難波 全然分からないよ、年齢が。どう考えても一番若い(コバルト君をさす)、つぎが(チョコレートさんをさす)、で次(諷虹君が一番年上のイメージ)(虚空も加えると若い順に 1コバルト 2チョコレート 3虚空 4諷虹)・・・・47(諷虹)、43(虚空)・・・・っていう感じ。

チョコレート (爆笑しながら)受ける!!!

難波 (虚空に)あと3年で60ってこと?

チョコレート あと2年だよ。

虚空 丑年なんで・・・。

難波 めっちゃ若い!

虚空 まあ精神的には幼いままと思いますよ。

諷虹 同年代の友達よりもアニメの話してますから。

虚空 最近教え始めた高校生もアニメとか好きだから。
よくビックリされますよ、中高生には。「教師なのにどうしてこんなにアニメの話に通じるの?」って。
でもそれでこっち側の人間って思ってくれる、というのはありますね。

難波 こっち側っていうのもすごいけど・・・虚空さんさ、来年やろう、授業。

チョコレート 来年生きてっかな・・・

虚空 そこが一番問題。

難波 生きよう!

コバルト 車椅子だったりして。

難波 感動的な授業になっていいじゃん

虚空 教壇で死なせてくれ、って・・・小原國芳先生みたいに・・・

難波 向こうの先生と手をくんでやれば面白くない?

虚空 ・・・今は本莊さんともそういう話をよくしているんですけどね、小学校の国語の先生って限らないで、教育者とも限らないでね・・・若い人達と理屈ぬきでこういう話を楽しめるような、そういうネットワークを何か作れないかとはずっとね。

もっといろんな切り口があるんだよ、とかね。そのムードは広げたい。
それは本莊さんも上原先生の心意伝承方面のことを・・・・

難波 そういう組織体をつくって本莊さんにも参加してもらって・・・

虚空 いくら現代社会だって、知らないだけでこういった話題にのってくる人はたくさんいると思うんだよね

難波 いる。
僕思うんだけど、上原先生をナマで知っている教え子たちは、最初から「分かってもらえない」と思っているのよね。上原先生が分かってもらいにくかった人だから。

(上原先生が歌舞伎研究と教育学を一緒に考えていたことが受け入れられなかった話から)

でも「いや、分かるハズなんだ。漫画だって何だってそこにつながっているじゃん」って虚空さんが言った時の拒否感はここにもあると思うんよ。「あんた何をいっているの。わかるわけないじゃないの」ってなっちゃうんだとおもうの。

虚空 そこがね、本莊さんと私がね・・・例えば本荘さんが書いた心意伝承の本がね、上原先生の話を出だしにしながらも、本荘さんなりにいろんな話題に結び付けて・・・ウルトラセブンからなにから・・・そして、それこそが本当に上原先生を受け継ぐことなんだという信念があるから。

私だって上原先生が歌舞伎をとりいれたのは芸術だからじゃなくて、江戸庶民の娯楽で馬鹿々々しいと当時は言われていたものだから、だからナマの素材がとれると。だから現代におきかえたらアニメだろ、って。

難波 全くその通り。

虚空 宮崎アニメと上原先生を結びつけるならまだしも、現代のわけのわからないアニメとは、って・・・
チョコレート まだしも、って何よ!ジブリならいいの?

虚空 ジブリなら分かるっていうんだよ

チョコレート 何なの?

虚空 今風の深夜アニメと上原先生を結び付けるのはとんでもない、っていうようなね

難波 それはあるんだよ。

諷虹 私の勝手な妄想ですけど、「ヒロイズム」というか・・・「理解されないけど自分達は高貴なことをやっている」という潔癖感のようなものも・・・

難波 あるあるある。そういう潔癖感はあるよ。

諷虹 だからそういうアニメと結びつけるのは拒絶するみたいな。

チョコレート それだけ上ちゃん(上原先生に親近感を抱いての呼び方)は偉いんだよ、っていう。

コバルト 心意伝承を知ってもらいたいんじゃなくて、上原輝男を知ってもらいたい

難波 そうそう。だからこの駿煌会の人たちは心意伝承をしてんのよ、本当に。
心意伝承をするということは、そのものをそのまますることじゃないからね。

コバルト キリスト教みたいな教祖様をつくる宗教。神道みたいに教祖様がいない自然宗教・・・

虚空 絶対神ではなくて八百万の神々。上原先生はそっちを考えていたんだもんね。

難波 やはり今は「上原輝男教」になってるんだよね。それはある意味で仕方ないんだよね、生身の先生、生身の教祖を知っているから。でもね、生身を知っている虚空さんでも本荘さんでも、そこから逃れようとする人達がやっぱり新しい流れをつくると思うんだよね。

虚空 そうしたいと今の時代の人たち、それこそ上原先生の影も形もない・・・残像もない人達に対して「上原先生が言っていたから」なんていうのは何の説得力もないと思うんですよ。

難波 ホントなんない。

虚空 自分も児言態の雑誌にだったら「上原先生がこう言いました、ああ言いました」っていう書き方を私だってするけれども、そうじゃない時にはね・・・例えば家庭教師の場なんかでは親と話す時に上原輝男という名前は出さないですから

難波 分からないしね。

虚空 私の恩師がこう言っていたんです、って話しても「ああそうなんですか!」なんて言ってくれるわけがない。

難波 「そうですか」なんて言ったらコワイな。「何でお前知っているの?」って。

虚空 それはやっぱり家庭教師の場だったらその子のありのままの今に即して話し合う。

(水戸近くの大洗町を舞台にしたアニメ、ガールズ&パンツァー の話 地元をもりあげる仕掛け人として有名なとんかつ屋の店主さんについて))

諷虹 常磐さんの感覚ってまわりを巻き込むんですよ。お年寄りとかも引き込んできた。

コバルト 大洗を巻き込んじゃった

虚空 常磐さんの偉さって、アニメが好きな世代とかとは全く関係ない人達を・・・年配者とかもどんどん巻き込んだっていうところ。

難波 それがさっき言った第五段階なんよ。

虚空 常磐さんと実際にお会いしてしゃべった時にね、「すごいじゃないですか、これが学校だったら名校長になれますよ」って。そしたら「いやあ、俺はそんなことないよ。ただみんなの話を聞きながら一緒に酒を飲んでるだけだよ」って。「それがいいんですよ」って。

それで私がちょっと調子にのって「大洗の子ども達が楽しみだ」って言ったんですよ。「そうやってアニメとは全然関係のない年配者もまきこんで、しかもまわりから来てくれた人たちをどんどん包み込んで一つの世界を作っている・・・そういう大人たちの後ろ姿をみている中高生たちが、これからどういう大洗をつくっていってくれるのか・・・それ楽しみじゃないですか」って言ったら「それは考えた事なかった」って。それで並んで記念写真を撮ってもらったっていう・・・

難波 そういう風にいえる虚空さんもすごいね。本当にそうだよ。

虚空 実際に諷虹ともそういうことをしゃべってたんだよね、何度か。

難波 いやーすごいな。そういう人がいると全然変わるよね。

諷虹 やっぱりガルパンって戦車を題材にしてるんで、戦争を経験した世代が楽しんでくれているっていうのが・・・

虚空 もっともアレルギーが出て当然の世代が一生懸命にガルパンのことを盛り上げているっていうのがね。

難波 ガルパンの世界観は最も戦争とは遠いところになるわけじゃん。戦車を使いながらも。
そこであんだけ受けたんだと思うんやけど、残念ながら広島とかは全くダメなわけよ。入り口でダメ。ガルパンの「ガ」の字も出せない。

虚空 それはやっぱりしょうがないと思います。

ただね、諷虹とよくガルパンの話をしていた時に、あまりそういう言い方をする人はいないけど、戦車のイメージって何だろうね、って。やっぱりそれは「雌雄同体」じゃないか、って。「男性原理」と「女性原理」を両方もっているのが戦車だよね、って。

難波 うわー! えっ、ちょっと・・・女性原理ってどこなの?

虚空 戦車の中は特殊カーボンで守られているから安全っていう設定じゃないですか。

難波 雌雄同体なんていう発想、どっから出んの?

虚空 私と諷虹がくっちゃべるとこうなっちゃうんです。

難波 こんなことをもし大学でしゃべったら、その瞬間に「先生はおかしくなった」って言われる。
戦車を雌雄同体ね・・・すごいな・・・

諷虹 空母なんていうのもそうですよね。

虚空 そういうのと折口先生の真床覆衾襖ともつながると思うんですよ。
「おうち」だって結局は同じ発想じゃないですか。
エネルギーを蓄えて、そこから外へ生まれていく。

難波 空母ね

虚空 だから「戦争」っていうイメージを切り離して考えるとさらにいろいろなものがみえてくる

コバルト 空母をなくしたら飛行機はどうなっちゃうか・・・

難波 帰るところを失っちゃうわけだよね。「母なるうち」なんだよね、やっぱり。

虚空 そうすると最近のアニメでいえば「荒野のコトブキ飛行隊」とかも

諷虹 ガルパンと同じ作者の人がつくっているんですけど(アニメの解説)

虚空 飛行船が空母みたいになってるじゃない。あれがまさにおうち。出撃と帰還のくりかえし。形からいってもまさに母胎。

難波 戦車もおうちなんだね。

虚空 しかもあれに乗りながらみんな精神的にどんどん成長する・・・まさに新たな魂を依りつける・・・真床覆衾襖。

難波 本当にあそこに乗っているのは子どもなんだ、ある意味で。

諷虹 あとガルパンでは「母校」とか

虚空 学校をすごく大事に位置づけていますよね。

諷虹 大洗という町もね

難波 ホームタウンだよね。

諷虹 それが実際にあるということで全国から集まってくる。

虚空 リピーターが多いということと、ふるさと意識

諷虹 他県から来た人って、必ずっていっていいほど「ただいま」の感覚なんですよね。お店の人に「また来たよ」じゃなくて「ただいま」。実家に帰ってきた感覚。

難波 だから「聖地」とは違う感じなんだ

諷虹 ある意味で本当の「聖地」なんです。11月のあんこう祭にも毎年毎年帰ってくるという感覚なんでしょうね。アニメ放送が終わっても声優さんをよんで10年くらいたつわけですからね。

虚空 私も彼の話で、へー って思ったのが、キャラの誕生祭りの時にね、キャラの顔が描いてあるケーキがあって、みんなにスプーンが配られて「一口ずつどうぞ」って。行列になってまずはみなさん写真を撮って、それから食べる・・・

諷虹 来る人もそのキャラの誕生日プレゼントを持ってくるんですよね。それで声優さんからのメッセージがあったり、ハッピーバースデーをみんなで歌って・・・それで一口ずつケーキを食べるんですが

虚空 それがみんな端から食べるんだって。いいところを自分が我先に食べようじゃなくて、列のあとの方に並んでいる人のことを考えて、っていうのがね。

コバルト よく観光地で目立つところに自分の名前を刻もうとする人いるけど

虚空 真っ先にやろうじゃないんだよね

コバルト 傷つけない。

虚空 よそから来た人も自然にそういう風になっちゃっている

諷虹 大洗のイベントの後ってゴミが全く落ちていない、っていうのでも有名なんですよね。次の日に清掃員の人が仕事がないっていうくらい。10万人以上が来るんですよ。

難波 観光地じゃないんだな。観光地のように行って帰ってくる場所じゃなくて、まさしく「戻る場所」なんだね。

コバルト 子宮

難波 子宮か・・・すごいな・・・。

コバルト 汚そうと思う人がいない

難波 子宮だもんな。

諷虹 実家かえって汚して帰ってくるなんてね・・・

チョコレート 生まれ変わりだもんね。

(難波先生、お時間。記念写真をとったあと)

難波 できれば6月に会おうね。合宿は必ず会おう!






(チョコレートさんも帰宅 3人でもう少し過ごす そのやりとりの中で)


虚空 ・・・難波先生って、こういう駿煌会での集まりの時には第三項理論の話とかを前面に出してこないでしょ。用語も出てこないでしょ。

諷虹 難波先生って、ゆうべのコバルトさんの話でいえばニュートラルの位置が常に難波先生だと思うんですよ。だから第三項理論の話を出さなくても自由に話ができるんじゃないかな、って。理論とかも全部難波先生の中に入れて、難波先生になっている・・・。

諷虹 今日もいろいろな話になったじゃないですか。それでその時その時でいろいろな顔をせていたけど、全部が難波先生なんだな、って。

虚空 それにしても今日だって話がポンポン飛躍したじゃない。
難波先生の学会発表の中のポイントの一つが「ゆさぶり」だったんだよね。ゆさぶりを受けるのが大切だって。

諷虹 そのゆさぶりを肯定的に受け止めるか否定的に受け止めるかですよね。苦手な話題になっても拒絶するか、面白そう って思うか。

虚空 石崎小なんていうのは、いい方のノリだったんだよ。話がポンと飛躍する。それを面白がっていたんだけど、やっぱり多くの先生にとってはそういう発言は、教師の想定を超えるから迷惑だって。だから研究授業なんかの時にはそういう子がいくら一生懸命手をあげていても指名しないんだよね。

諷虹 児言態的な指導案の作り方の時に思ったんですけど、量子論の研究でも、量子の振る舞いとか性質のことで、どこに存在するのか、っていう大きい円でみるじゃないですか。上原先生のいた頃の児言態ってそれをやっていたのかな、って思ったんですよ。作文分析とかでさんざん議論したあとで指導案を作るっていうのは、どこまで範囲があるのかを観測してから包み込むような形・・・粒子でとらえてね、それこそ。それが、この点にだけ合致するように指導案を作ってしまうと、少しでも発言が期待や想定を超えたら授業が台無しになってしまう。

虚空 量子論的な重ね合わせでみていけば、確率的に低くても、ここまではありうる、っていうのがあるんだよね。だからかなり飛躍した意見が出ても、「こういうつもりで言ったのかな」って察してあげることができる。受け止められるんだよね。
ゆうべの二人のやりとりでも、麻雀に詳しい人からすれば咲の中にでてくる展開はありえない、って思ってしまうものでも受け入れられる。

諷虹 あり得ないっていっても0%ではないんですよね。0.001%くらいは(笑)

コバルト 普通ならこうする、っていうのと違うことをやって勝てるということも実際にあるし・・・そういうのを目の当たりにすると「確率」っていうのもあてにならないな、って。

虚空 でも実際にそうなんだよね、世の中って。だから教育現場でも教師の期待通りに誘導するんじゃなくて・・・本人がそう感じての意見だったらきちんと耳を傾けて、そういう意見こそ風を吹かせてくれるというようにね・・・授業にゆさぶりをかけてくれる。ふくらませてくれるんだよ。それを大人の狭い常識で縛り付けてどうすんの、って。

だから上原先生なんてよくいってたよ、今教えている子どもの方がずっと上の世界を生きているのかもしれないんだぞ、って。
うちのオヤジなんかもね、輪廻転生の魂の歴史からいっても、魂年齢はずっと上の子を相手にしていることだってあるんだ、って。

諷虹 今ちょっと思ったんですけど、昨日からコバルトさんがしきりに話題にしているのが、地球と衛星の関係じゃないですか。考えてみると「地球」の重力に縛られているんですよね。でも宇宙の振幅っていう風になってくると、それって「地球の重力からの脱出」もあるのかな、って。じゃあ太陽の重力なのかっていうとそれに限っていないわけですよね。宇宙空間としての無の状態・・・何の力も働いていない状態でのそこで起きる波と共鳴する・・・そこで地球の重力と、当たり前の常識からの脱出という部分で、宇宙との振幅っていうテーマには非常に重いものがあるのかな、って。

虚空 今まで真面目に考えた事がなかったんだけどさ、天文学的にいうと太陽系にように太陽が単独で恒星になっているのは、そっちの方が少ないんだそうだよ。本当は木星がそうなるハズだったらしいんだけど、本当は連星。燃えて輝いている星が二つというのが決行多いんだと。そうなるとどっちがどっちに引っ張られているとかじゃなくて、互いに引っ張り合いながら、さらにその周りに惑星が衛星として回っている・・・それで一つの統一された世界・・・太陽系のようになっている、らしいんだよね。

そう考えるとね、ゆうべダンデリオンさんのツイッター記事に載っていた徳川さんの感覚なんかを考えてみても面白いよね。



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2019年 5月25日
【お話】高校時代に、徳川家康の子孫にあたる女子生徒がいて、友達と一緒によく話していましたが、こんなことを話してくれたことがありました。

「この地球が太陽の周りを公転してるっていうことは、『今・ここ』は明日になったら、宇宙空間になってるってことよね。そう考えると、何か、すごいよね」足元がぐらっと揺れて、とてつもない深みにさらされたような感覚に襲われました。たしかにそうだ、

「徳川さん」の言う通り、我々が他愛もないおしゃべりに興じている学校の図書室のこの机やいすがあるあたりも、明日になったら宇宙空間になっているのだ。それに『今・ここ』自体が、昨日までは宇宙空間だったわけだ。それどころか、ついさっきまでも宇宙空間だった。地球は太陽を中心に公転しているから1年後には同じ場所に戻ってくる? いや、太陽系は、銀河系の中を回っていると聞いたぞ。銀河系のような島宇宙たちも、それぞれ大宇宙の中を回っているって。

じゃあ、宇宙の中の本当の中心は?本当の中心は、見つかってないはずだし、あるのかないのかもわからない。ということはつまり、我々は永久に同じ場所には戻ってこないで、宇宙空間の中を放浪し続けているということだ。たしかに、すごいや…なんだかやたらと感動して、今でも鮮明に覚えています。女子高生「徳川さん」の思い付きも、きっと立派な「悟り」なのだろうと思います。

地球という小さな星の一角に浮かぶ小さな島国に貼りついた一人の少女の心でも、大宇宙を翔け巡ってしまう、実感をもって…私にとってもこの時に連想したイメージ世界が、その後の自分の人生、生き方に何か方向性を持たせてくれたような気がします。極小なものでも極大の世界と一致できるし、一瞬の事でも永遠を体感できるし、定まったコースでも常に未知への彷徨(ほうこう)(さまよい)になっている。そう悟ったからといって急に肚(はら)が据(す)わったり、迷わなくなったりしたということではありません。

迷いや失敗の連続の人生ですが、少しずつ、自分の中の中心ができてきた気もし始めたものでした。失敗してぶっ壊れても、また自分の中のどこにどんな柱が立ちそうか予感できるような、中心座標が。草の露一滴にも月影は宿る、全天の星は映る、ただし、濁ってなければ、です。素直に受け入れる透明さを。

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諷虹 台風の目の中心ってわりと穏やかっていうじゃないですか。・・・無の状態。

コバルト ブラックホールなんかは?

虚空 それこそ相対性理論の世界だと、宇宙船に乗っている人たちにしたら、あっという間に吸い込まれて行ってしまうのが、外からみている人には、時間がとまっているように見える、って。いつまでも吸い込まれて行かない。そのどちらも共存している世界。

諷虹 やっぱり「立ち位置」なんですね。さっきの二重恒星なんかの話も、ある意味宇宙を俯瞰した状態の話じゃないですか。でも地球からみると太陽も月も同じように輝いて照らしているという感覚じゃないですか。相反するものが同等というような。
でも宇宙空間全体からみれば衛星と恒星とかいうような・・・太陽系を構成するものが地球からみると同等のようなものにみえてしまっているというのは・・・。


虚空 片っぽうは自ら輝いていて、もう片方は反射で輝いているというのはあるけどね。
あのさ・・・今諷虹の顔をみて思い出したんだけど、咲の25話のエンディングが、なのはA'sのオープニングと似てるってゆうべの話・・・あれ、二つの恒星が連星になっている関係と似てるよね。

諷虹 あれって、はやてが中心とはいっても、やっぱりなのはとフェイトがダブル主人公のような感じだからああいう演出なんでしょうね。咲も1年生コンビだから・・・

虚空 そういう関係が教室の中でも・・・教師と子ども、あるいは子ども同士・・・主がどっちだかわからないくらいにグルグル入れ変わる自由な世界。

コバルト 衛星って落ち続けているわけじゃないですか。

虚空 落ち続けているから月は宇宙のかなたに飛んでいかない、ってやつね。

諷虹 つかずはなれず・・・それをずっと続けている

コバルト それもスピードが大事で・・・

虚空 速くなりすぎたらそれこそ脱出速度になっちゃうわけだよね。

諷虹 遅くなっても地球に落ちる・・・絶妙なバランス。加速しつづけているから落ちないでいつづける

虚空 向きが変わる加速度だよね。
そういう点から人間とか教育について考えてるというのも大事だよね。ただ単に理科でテスト的に習うだけじゃなくて。
ちょっとでも付け加えるだけで随分ちがう

諷虹 それって円運動のすごさですよね。等速直線運動って無限に離れて行ってしまうようなイメージがどうしてもつきまとうじゃないですか。でも、無限加速運動なんていうのは想像できないわけですよね。実数の無限を並べるのと自然数の無限をならべるのとじゃないですけど・・・。等速で離れていくというのはできるのに、加速して離れていくのは(有限)・・・
あの円っていうのはそれが説明できるのかな、って。

虚空 それだって、もしかすると秦さんがずっとこだわっている上原先生の「稚児には必ず庇護者がついている」というのに関係してくるかもしれないよね。しかもね、飼い主と犬のような主従関係とはちょっと違っていて・・・互いにバランスをとりあっている・・・二人でひとつ。具体例としては弁慶と牛若丸・・・

コバルト ・・・雌雄同体。

虚空 そうだね。デンデンムシが相手と受けと攻めを同時にするとか・・・仮に相手がいなかったら自分自身と交尾できるとか・・・

諷虹 弁慶のまわりを牛若丸、牛若丸のまわりを弁慶、どっちもいえますもんね。

虚空 そういう関係が「咲」のペア同士っていうのにも感じるわけだよ

諷虹 百合カップル

虚空 そう。それをね、単に百合カップルで片付けちゃうと深いものは何もでてこないけどさ、

諷虹 それがゆうべの話だとすれば、自分のテリトリーと相手のテリトリーとの関連・・・分母分子のひっくりかえり。
それが現実の場面の中で、どっちが優勢に現れてくるのか、というところですよね。

コバルト そうすると変わったことには気が付けない、っていうことにもなるわけですよね。

虚空 それを聞いてステルスモモを思い出したんだけど(咲 のキャラ 周囲に対して自分を見えない存在にする特殊能力を持つ)・・・見えないけれど質量を持った存在じゃない。
そういうモモとのペア・・・つまりね、見える存在同士のペアだけじゃなくて、見えない相手とペアを組んだ相互作用っていうのもあるんだろうね、って。
そうするとね、もっと拡大して考えればね、そういうステルス能力を持っていない人間であっても、そういう仲間が自分にはついていると、本気で思っている、信じている・・・それが大きな力になる・・・・それは日常の中でも普通にあることだけどさ。

諷虹 アニメの「咲」で執事の登場のしかたがいつも面白いと思って・・・。呼ぶとパッといる。何もない空間からパッとでてくる感じですよね。

虚空 それこそ普段は波の状態でどこにいるのか分からないのが、呼ばれた瞬間に粒子化して実体がみえるようになるんだよ。

諷虹 忍者ってそうですもんね。忍びの感覚

コバルト いるけどいない、いないけどいる。

諷虹 (NHKの)量子論の番組でも忍者に例えていましたけど・・・あれ、上手いなって。

虚空 モヤモヤ状態と粒子状態。
でもあのうさ耳の子(天江衣)はモヤモヤ状態がないと思っているわけじゃない。

諷虹 そこにいなければいない。
衣って自分が重力を発しているということを悩んでいたら、咲というもっと重力の強い子に出会えたことで重力から解き放たれたという感覚じゃないですか。その(特別な)重力を持っているからということでみんなが嫌っていた・・・敬遠されていたのが、さらに重力の強い咲が現れたことで自分は重力から脱出できた

虚空 化け物が二人・・・

諷虹 やっぱり量子論と相性はいいですね。

(お時間のコール)

コバルト いやー、すごいなー。まさか話がここまで来るとは。

虚空 先週の量子論の話が、咲をきっかけにしてこんな風にどんどん広がっていくとはね・・・。
上原先生がここにいて加わっていたら、どんなやりとりになったかな(笑)